【腰椎椎間板ヘルニア】悪化や再発を防止!ストレッチの方法

 腰椎椎間板ヘルニアを発症すると、足の痛みやしびれなど、日常生活に大きな影響を及ぼします。腰椎椎間板ヘルニアと聞くと、「手術」というイメージが浮かびやすいですが、手術の適応には条件があり、また手術をしたくないと思われる方もいるでしょう。手術以外にも、腰椎椎間板ヘルニアの悪化や再発を防止する方法があります。

 ここでは、腰椎椎間板ヘルニア、それに対するストレッチ方法について説明していきます。

 

 

腰椎椎間板ヘルニアとは

 「腰椎」とは腰の骨にあたる部分です。腰の骨は背骨からお尻の骨までの一部であり、それらの骨は全て椎体と呼ばれる骨が積み重なってできています。椎体の間をつなぐために粘着力のように働いているのが「椎間板」になります。

 腰椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の中にある髄核という組織が、何らかの原因で飛び出し、神経を圧迫してしまうものです。神経を圧迫することで、足の痛みやしびれ、腰痛、歩きにくさが生じます。

参考)

厚生労働省委託事業 Mindsガイドラインライブラリ 

https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/1/pub0017/G0000475

 

 

腰椎椎間板ヘルニアに対するストレッチ方法

 腰椎椎間板ヘルニアが疑われたら、まずは医師に相談しましょう。症状や検査の結果により、手術が適応になる場合とならない場合があります。1日のうち、症状が出たり消えたりする場合や、日に日に痛みが軽減してきている場合は、手術をせずに様子を見ることになります。数か月すると症状がなくなることもありますが、症状の悪化を防止し、再発しないようにするためには、ストレッチなどの日常的な運動が有効という研究結果があります。

 そこで、ストレッチの方法について、以下で説明していきます。ストレッチを行うことで、①腰椎を生理的な前傾姿勢に保つ(腰を反らしすぎない)②腰回りや足の筋肉を柔軟にすることが可能になり、腰椎椎間板ヘルニアの悪化防止・再発防止が期待できます。

 

 

両ひざを抱えるストレッチ

 このストレッチを行うことで、腰を反りすぎない姿勢になります。また、背骨を支える筋肉やお尻の筋肉の伸びをよくします。

  1. 仰向けになり、両手で両ひざを抱える。
  2. 息を吐きながら10秒間、抱えたひざを胸に近づける。

ひざを胸に近づける際には、なるべくお尻を床から離しましょう。

 

腰をひねるストレッチ

 このストレッチを行うことで、腰回りの動きをよくし、腰を反る癖を直します。また、背骨を支える筋肉や腰・胸・背中・お腹・お尻・太もも前の筋肉などたくさんの筋肉の伸びをよくします。

  1. 仰向けになり、軽く足を開く。
  2. お尻は床につけたままで、右足を左側に倒す。
  3. 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
  4. 左も行う。

できそうであれば、倒したほうの足を、反対側の手でおさえてください。より伸びを感じます。

 

足の裏にタオルを通して引っ張るストレッチ

 このストレッチを行うことで、腰回りの動きをよくし、腰を反る癖を直します。また、太もも裏やふくらはぎの筋肉の伸びをよくします。

  1. 仰向けになり、両ひざを立て、軽く開く。
  2. 両手でタオル(ハンドタオル程度の大きさ)を持ち、右足の裏に通す。
  3. 仰向けのまま、タオルを通した足を、床から60度ほどの角度に伸ばす。
  4. 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。
  5. 左も行う。

ほどよく伸びを感じる程度にするために、長さの違うタオルで比べるなどして、調整してください。

 

両ひじ立て・両ひざ曲げのストレッチ

 このストレッチを行うことで、腰椎を伸ばし、お腹・太もも前の筋肉も伸ばします。

  1. うつ伏せになり、両ひじをついて上体を起こす。
  2. 息を吐きながら、両ひざを曲げて上に向け、10秒間姿勢を保持する。

注意:首を後ろに傾けるとと腰が反りすぎるので、目線は床におろしてください。

 

太もも裏のストレッチ

このストレッチを行うことで、太もも裏の筋肉を伸ばし、腰椎に負担がかかりすぎることを防ぎます。

  1. 立った状態からしゃがんで、両手で両足首を握る。
  2. 胸と太ももの前をつけた状態のまま、両ひざを伸ばす。
  3. 息を吐きながら、10秒間、姿勢を保持する。

胸と太ももは離れないよう意識してください。ひざを伸ばしきるのが難しい場合は曲げた状態でかまいません。

 

全てのストレッチにおいて、痛みを感じるまで行わないようにしてください。回数は、1~2回で始めて、徐々に増やしていきましょう。続けていくことで、楽に行えるようになります。無理のない範囲で、長期的に行っていきましょう。

 

ストレッチを行ってはいけない場合

いつもより足の痛みやしびれを感じる、歩きにくさなど違う症状が出てきた、ストレッチ後に症状が悪化した場合などは、ストレッチを行わないようにしてください。そして、医師に相談するようにしましょう。

 

 

まとめ

 今回は、腰椎椎間板ヘルニアと、それに対するストレッチ方法について説明しました。

 足の痛みやしびれが出てきたら、まずは医師に相談し、治療方針や、ストレッチを行えるか確認しましょう。ストレッチを始めたら、無理のない範囲でコツコツと続け、悪化防止や再発防止を目指していきましょう。

 

参考)

・腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版 
https://mail.google.com/mail/u/0/#inbox?projector=1

・腰痛診療ガイドライン2019改訂第2番版

https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001110/4/Low_back_pain.pdf

・全日本民医連 なぜ起きる? 腰痛 腹筋を鍛えて予防しよう 2本足歩行から腰痛は始まった
https://www.min-iren.gr.jp/?p=4119

・J⁻STAGE 理学療法学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/44/6/44_11334/_article/-char/ja/

・全日本民医連 腰痛 腰椎、この難しきもの
https://www.min-iren.gr.jp/?p=7791

 

 

監修:医師 津田康史