狭心症・心筋梗塞の症状とは?発症原因や治療方法・対策をご紹介

 

狭心症や心筋梗塞は、発症から状態が悪化するまでの時間が短いことから、早期発見と早期治療が重要とされている病気です。

最近の治療は進歩しているため、心筋梗塞による致死率は低くなっています。しかし必ずしも、心筋梗塞の前兆が現れるわけではなく、突如として襲いかかることが多いので、生活のなかで病気を予防することが大切になります。

 

日常生活を送るなかで、少しでも変化を感じたら症状についてチェックし、当てはまる場合はすぐにかかりつけ医や近隣病院に行きましょう。

今回は狭心症と心筋梗塞の早期発見・早期治療のために現れやすい症状や予防方法について解説するので、ぜひご自身でも確認してください。

 

 

1.狭心症とは

狭心症は冠動脈と呼ばれる、心臓の血管が何らかの原因で細くなる病気です。

 

発生の過程や症状の現れ方によって、以下の3種類に分類されます。

  • 異型性狭心症(冠れん縮性狭心症)
  • 不安定狭心症
  • 労作性狭心症

 

狭心症の症状としては、主に胸の痛みや胸の締め付け、圧迫感が数分から15分程度現れるのが一般的。

狭心症に近い病気に心筋梗塞が挙げられるのですが、狭心症は放置すると心筋梗塞に移行することがあるため早期治療が必要です。

 

 

1−1.異型性狭心症または冠れん縮性狭心症

異型狭心症は、別名「冠れん縮性狭心症」と呼ばれています。

 

異型性狭心症(冠れん縮性狭心症)は、冠動脈の壁にある平滑筋が一時的に収縮。もしくは痙攣を起こして内腔が狭まる状態を指します。喫煙者や飲酒をする方は、特に狭心症を発症するリスクが高いです。

 

安静時や、夜間から明け方にかけて発作が起こりやすいといわれています。

症状はほかの狭心症と同じように、通常数分から15分程度の胸の痛みや締め付け感、息切れ、肩の痛みなどがあります。

 

 

1−2.不安定狭心症

不安定狭心症は、放置すると非常に危険な病気です。

 

心筋梗塞の一歩手前にある状態で、血栓が増えると心筋梗塞へ移行する可能性が高いため、不安定狭心症と判断されたら早期に治療を行う必要があります。

不安定狭心症は、心臓の血管に血栓(血のかたまり)が詰まり、血管が急激に狭まる症状。

 

 

2.心筋梗塞について

心筋梗塞は日本の死因のなかでも上位の疾患で、突然死を引き起こしやすい非常に危険な病気です。

 

心筋梗塞は、心臓の血管が血栓で塞がれることで、心臓が壊死することもあります。心臓が壊死すると、動きが悪くなったり不整脈を起こしたり、全身へ血液が行かなくなるため、脳や全身の臓器の機能も停止してしまいます。

 

原因は不安定狭心症と同じく、高齢者や喫煙、脂質異常症、糖尿病、高血圧であり、症状は、安静時でも20分以上持続する激しい胸の痛みや締め付け感などです。

 

 

3.狭心症と心筋梗塞の違い

狭心症は心臓の血管(冠動脈)が一時的に細くなり、血流が低下する症状です。

一方の心筋梗塞は、心臓の血流が完全に遮断されるため、心臓の機能が停止します。

 

狭心症は血流が一時的に低下するだけなので心臓機能は保たれますが、心筋梗塞は血流が遮断されるため、早期に治療をしないと心停止する可能性が高くなります。

 

 

 

4.狭心症と心筋梗塞の治療方法

狭心症と心筋梗塞は、いずれも発覚してから早期に治療を行う必要があります。

治療法は以下の方法が一般的です。

 

  • 薬物療法
  • カテーテル療法
  • 手術療法
  • 再生医療

検査をして確定診断を行い、状態によって治療方法が異なってきます。

 

 

4−1.薬物療法

狭心症の一般的な治療方法は薬物療法です。

 

狭心症の薬物療法は、心筋梗塞への移行を予防する目的と、悪化を防ぐ目的で行われます。内服と点滴のどちらか、または併用して心臓の血管を広げる薬や血液をサラサラにする薬を使用します。

 

心筋梗塞に行う薬物療法は、心臓の機能を保持することが主な目的です。

心筋梗塞は心臓が壊死している状態なので、心臓に負担がかかると破裂する可能性があります。また血栓溶解療法(薬で血栓を溶かす方法)も効果的。

 

 

4−2.カテーテル療法

カテーテル療法は、不安定狭心症と心筋梗塞に有効な方法です。

 

カテーテル療法のなかでは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が第一選択として行われます。カテーテル療法は局所麻酔で行われるので、治療中は意識もあり、開胸手術に比べて合併症が少ない方法です。

 

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、手首や肘、足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、血流の流れに沿って心臓の血管まで進めます。

 

 

4−3.手術療法

手術療法には、冠動脈バイパス術と呼ばれる技法があります。

 

冠動脈バイパス術は、心臓の血管が細くなった部分に別の血管を繋いで、心臓の血液の流れを補助する仕組み。血液のかたまりが強固である場合や、複数の血管が詰まっている場合に行われます。

 

開胸手術によって全身麻酔で行われるため、手術中の意識はありません。

 

 

4−4.再生医療

再生医療は、患者の「自然に身体を修復する力・再生する力」を最大限に生かす治療方法です。

 

再生医療の仕組みは、細胞から「幹細胞(細胞を生成する細胞)」を取り出して、細胞を人工的に増やします。増殖した細胞からは臓器が作られるため、自分の体に移植して「機能を失った臓器」を修復する治療方法。

 

幹細胞は、大きく以下の2種類に分類できます。

 

  • 組織幹細胞:自分と同じ細胞を作れる
  • 多能性幹細胞(iPS細胞など):あらゆる細胞を作り出せる

 

病気のなかには細胞の衰えが原因となり、治療法が存在しないものもあります。しかし再生療法は、細胞を用いることで病気の根本的な治療が期待されている注目の治療方法です。

 

 

5.狭心症や心筋梗塞の原因や予防方法

狭心症や心筋梗塞の主な原因は生活習慣です。

 

生まれつきの心臓の異常で二次的に心筋梗塞を発症するケースもありますが、ほとんどの場合は生活習慣が原因。そのため生活習慣の改善が、狭心症や心筋梗塞の予防に繋がります。

 

狭心症や心筋梗塞は、動脈硬化による原因が大半です。動脈硬化は、喫煙や肥満、運動不足、ストレス、加齢が原因とされているため、生活習慣が乱れている方は、改善を意識しましょう。

 

狭心症や心筋梗塞は致死率が高い病気であり、前兆がほとんどありません。症状が出たときには、すでに緊急事態であるため、生活習慣を見直して予防してください。

 

 

6.まとめ:狭心症や心筋梗塞は正しい食習慣や生活習慣が大切です

狭心症や心筋梗塞は致死率の高い、重大な心臓疾患です。

 

現代ではさまざまな治療法が確立されてあらゆる病気を治療できますが、心筋梗塞をはじめとした心臓疾患は手遅れになるケースも珍しくありません。

 

狭心症や心筋梗塞になっても治療できるから大丈夫と思うのではなく、生活習慣を整えて予防に務めることが大切です。特に狭心症と心筋梗塞は前兆がなく、放置しておくと致死率が高くなる病気。今回の紹介した原因や予防方法を参考に、日頃から生活習慣に気をつけて生活していきましょう。