【医師監修】膝の仕組みについて解説!軟骨再生医療で健康的に過ごす方法

中高年になると気になりはじめる膝の痛み。定期的にヒアルロン酸注射をするのが習慣づいている方もいるのではないでしょうか?

膝の疾患は重症化すると日常生活に支障が出たり、最悪の場合は手術をしなければいけなかったり、生活の質が大きく低下し兼ねません。

今回は膝が痛くなる原因から、先進の軟骨再生医療についてご紹介します。膝の痛みから解放されて健康的に過ごせる日も遠くないので、ぜひ参考にしてください。

 

1.膝の仕組みについて

私たちが日常的に歩いたり座ったりする動作には、膝の曲げ伸ばしが関係しています。

膝関節は以下の3つの骨でできていて、膝の骨同士がズレないように筋肉と靱帯、腱で膝を支えています。

  • 大腿骨(太ももの骨)
  • 脛骨 (すねの骨)
  • 膝蓋骨(膝のお皿)

さらに膝のクッション性と柔軟性に欠かせないのが、半月板と軟骨の存在です。

半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある繊維軟骨で、荷重の分散や衝撃を吸収する役割があります。

軟骨は、膝を構成する骨の表面を覆っている厚さ2〜4mmのもので、コラーゲン(繊維組織)と水、プロテオグリカンでできています。

このように膝は、3種類の骨と、可動域を飛躍的に向上させる半月板と軟骨によって自由自在に動くような仕組みになっているのです。

 

 

2.膝にまつわる主な疾患

加齢による身体的変化で膝痛は起きやすくなります。年齢のせいと思われがちですが、実は時間をかけて進行し、症状は徐々に重くなっていきます。そのため、早めの診断と治療を受けることが重要です。

以下では、特に多い膝の疾患をご紹介。症状に心当たりのある方は、かかりつけの院やクリニックに相談して早期対処を心がけてください。

 

2−1.変形性膝関節症

軟骨が加齢や筋肉量の低下などですり減り、痛みが生じる病気です。男女比は1:4で女性に多く、中高年の膝痛の9割以上とも言われています。

膝関節の骨と骨のすき間が狭くなり骨が変形することで炎症が発生し、膝が腫れて水が溜まる状態になります。初期症状は膝がこわばる感じや階段昇降で痛みが起こりますが、自然と治まるのが特徴です。

症状が進行するにつれて膝が腫れたり、膝の変形が目立ったりするようになります。末期では軟骨がなくなり骨が直接ぶつかるため、激しい痛みを引き起こします。行動範囲が狭まる場合もあるため、生活の質にも影響するでしょう。

症状が軽い場合は、痛み止めの内服薬や膝関節内のヒアルロン酸注射が行われます。治療効果がなければ人工関節置換術などの手術を検討する必要があるので、膝痛症状の長期放置などには注意してください。

 

 

2−2.半月板損傷

膝関節内にある半月板に亀裂が生じたり、欠けたりする状態を指します。スポーツ外傷が多い疾患ですが、中高年では、立ち上がり時や無理な姿勢で膝をひねる際に受傷するケースが多いと言われています。

損傷すると膝の曲げ伸ばしに痛みや違和感を覚え、悪化すると膝に水が溜まったり、急に膝が動かなくなったります。40歳以上では些細な外傷でも起こりやすいのが特徴です。慢性化すると変形性膝関節症になる恐れがあるので、早期に受診しましょう。

リハビリテーションや抗炎症薬の処方で保存的治療を行い、症状が改善しなければ手術などの処置が行われることもあります。

 

 

2−3.膝断裂性軟骨骨炎

関節内の軟骨が剥がれ落ちてしまう障害で、膝関節や肘関節、足関節などに好発します。

繰り返される負荷やけがにより損傷部位の軟骨が欠損することで、痛みや関節に水が溜まるなどの症状が起こります。

剥がれ落ちて遊離し、変化が進んだ軟骨は元に戻すことができません。長期的には変形性膝関節症へ移行するリスクが高くなるので注意が必要です。損傷が大きい場合や、大きな荷重がかかる部位で日常生活に支障を来す場合は手術が適応されます。

 

 

3.膝痛が発生する原因

膝痛が起こる原因は、以下の2種類が挙げられます。

  • 膝の原因(消耗による軟骨のすり減り、骨の新陳代謝の低下や筋力の低下である加齢性変化など)
  • 膝以外の原因(冷えや肥満、過去のけが、O脚やX脚など)

また変形性膝関節症は女性に多い傾向があり、その原因としては以下の理由が考えられています。

  • 女性は男性と比べて筋肉量が少ない
  • 加齢とともに基礎代謝が低下して太りやすく、関節にかかる負担が大きい
  • 閉経によるホルモンの分泌が低下し、骨が弱くなる

4.膝に関する疾患に効果的な軟骨再生医療について

すり傷が数日で治るように、再生医療はヒトが本来持っている「自然治癒力」を高める治療法です。今世界中で注目され、今後の展望が期待されている治療法です。「本当に大丈夫なのかな」と不安な方のために、詳しくご紹介します。

 

4−1.手術で膝を切る必要がない

膝を切らずに済むため、患者の体への負担が少ないのが特徴。

日本では特定認定委員会の審査に通過し、治療提供計画を厚生労働省に受理された医療機関でのみ、再生治療が許可されています。

注入治療は自己組織を採取・抽出し、1ヶ月間で組織を2,000〜3,000倍まで増殖させ、痛みの原因である炎症を抑えます。入院は不要で、注入治療は局所麻酔で行います。効果を実感できる目安は3ヶ月から6ヶ月程度です。

 

一方、人工関節置換術の場合は、膝を縦8〜12cm程度切開し、退院までは約3週間かかります。痛みはおさまりますが長期のリハビリが必要です。

 

  • 人工関節を検討しているが手術は受けたくない
  • ヒアルロン酸注射の効果が続かず効果も得られない

再生医療は、上記のような悩みを解決させる新しい治療法です。

 

 

4−2.治療の一部では保険適用が認められている

安全性が確立され、効果が立証されている再生医療ですが、先進治療のため臨床データの数が揃っていません。現時点では基本的に自費による診療を行います。

ただし、条件を満たした疾患は保険適応で受けることができます。

 

4−2−1.【保険適応の再生医療】自家培養軟骨ジャック

保険適応される再生医療の対象疾患は、以下のとおりです。

  • 外傷性の軟骨欠損症
  • 離断性骨軟骨炎

膝軟骨の一部から「ジャック」と呼ばれる自家培養軟骨を作り、膝軟骨に移植する治療法です。2013年4月から保険適応になりました。

 

 

4−2−2.【保険適応外の再生医療】変形性膝関節症

保険適応が認められていない対象疾患は、「変形性膝関節症」などです。

脂肪や血液から採取して治療を行います。どの成分をどの部位に投与するかで治療内容や金額が変わります。

医療機関で詳しく説明を聞き、自分に合った方法での治療を一緒に考えましょう。

 

5.膝のはたらきを守るための予防方法

膝が悪くなると、痛みや不安で運動に抵抗を感じます。ご自身の膝と相談しながら運動を始めてみましょう。

 

5−1.予防方法1:足腰の筋肉を鍛えるトレーニング

足やお尻の筋肉の低下は、膝関節への衝撃を強めるため、以下のトレーニング方法で足腰の筋肉を鍛えましょう。

 

【内転筋のトレーニング】

  1. まっすぐ立った姿勢で脚を開き、膝で硬めの枕やクッションを挟む
  2. 内ももに力を入れて3秒キープ、3〜5回ほど繰り返す

 

5−2.予防方法2:ウォーキング習慣を意識する

正しい歩き方は、足とお尻の筋肉を鍛えます。意識するだけでも歩き方は変わって足腰の筋肉が鍛えられるため、以下の正しい歩き方を参考にしてください。

 

【正しい歩き方】

  • 前に足を出すときに膝が伸びている
  • 前足はかかとから着地する、後ろ足は足の親指でしっかり蹴り出す

 

5−3.予防方法3:生活習慣の見直し

運動不足以外にも暴飲暴食による肥満体質も、膝への大きな負担となる可能性があります。日々の生活の中で実践できることから始めて生活習慣を改善し、膝をいたわってみましょう。

  • 膝を温めて血行をよくする
  • 洋式トイレを使用する
  • 肥満に注意する
  • 外出時はできるだけ階段歩行をする

 

6.まとめ:軟骨再生医療について学んで健康な膝の仕組みを守りましょう。

軟骨再生医療はなんとなく不安を感じたり、安全面や金銭面での心配があったりしたかもしれません。しかし軟骨再生医療は、体への負担も少なく、注目されている治療方法の1つです。

表参道ヘレネクリニックでは体に負担のかからない再生医療を得意としており、国際的な基準を上回った証明でもある「GCR:Global Clinic Rating認定」も取得しております。

現在、膝の痛みで悩まれている方は、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

・お問合せフォーム(LINE・We Chat・メール対応):https://okusurinabi.com/contact/

【再生医療外来】 03-3400-2277

 

「年だからもう仕方ない」と諦める前に、膝の仕組みを改めて学ぶほかに、膝痛などに悩まれている方は一度、膝の状態を相談することをおすすめします。

新たな治療の可能性を信じて、一歩踏み出す方が増えたり膝の痛みから解放されて、健康的な生活を取り戻すためのお役にたてり、今回の記事が参考になることを願っています。

 

監修:医師 津田康史