膝をつくと痛い!なぜ痛くなるのか、原因と解決方法

床に座るなどの際、膝をつくと「なんだか痛いな・・・」と感じることはありませんか?そんな時は膝に慢性的な負担を抱えているか、あるいはケガをしている徴候かもしれません。

 

膝関節は、太ももの骨である「大腿骨」とすねの骨である「脛骨」、また膝のお皿と表現される「膝蓋骨」という骨で構成されています。

関節の間には軟骨が存在しクッションの役割を果たし、周りには靭帯が付着して膝の安定性を確保しているのが通常の形です。

しかし、これら軟骨がすり減ったり、筋肉や靭帯が傷ついたりすることで痛みが出たり関節の曲げにくさなど不具合が起こることも少なくありません。

 

膝をつくと痛い原因・またそれぞれの対処法について確認していきましょう。

 

膝をつくと痛い原因とは?

「膝をつく」という行為は、膝を90度ほど曲げた状態・あるいは曲げこんで床に膝をついている状態です。

そのため、原因としては

 

  • 膝を曲げている状態
  • 床に膝をついて圧迫している状態

 

のどちらか、あるいはどちらの状態も膝に痛みを起こす原因になっていることが考えられます。

原因として多くみられる整形疾患は以下のとおりです。

 

変形性膝関節症

膝に長い年月・繰り返し圧力がかかることで変形し、痛みやX脚・O脚といった見た目の変化を伴う病態です。膝にストレスがかかるので腫れたり、水が溜まったりします(関節水腫)。

腫れは見た目ですぐ分かりますし、水が溜まったときには膝蓋骨を押さえたときにプヨプヨと動くようになるのでセルフチェックしやすい症状でもありますね。

 

また変形した膝関節をレントゲンで確認すると、

 

  • 骨棘(こつきょく):その名のとおり、骨のとげのような部分が膝の周りに出来る
  • 関節裂隙の狭小化:膝の軟骨がすり減ってクッション作用を果たさなくなってしまうことで、大腿骨と脛骨の間が狭まる(あるいは隙間がなくなり直接衝突する)
  • 軟骨下骨の硬化像:本来柔らかいはずの部分が、骨のように硬くなる

 

といったような状態が確認できます。

 

膝関節が変形すると、膝が曲げにくくなります。しかし膝をつく動作は膝をある程度曲げなくてはならないため、その動作が膝に負担をかけ痛みを発しているケースがあります。変形による慢性的な膝へのストレスにより炎症が起きていても、同じように曲げこんだ際や床で膝を圧迫した場合に痛みを伴う場合があるでしょう。

 

半月板損傷

半月板は膝の軟骨の名称です。関節軟骨と同様に、膝の内側と外側にクッション作用を持ちます。

内側の半月板が傷ついた場合は内側半月板損傷、外側であれば外側半月板損傷と呼ばれます。半月板が傷つくとクッション作用としての機能を果たせなくなるということですから、膝にかかる圧力は2~3倍にもなります。

 

また膝を曲げたり伸ばしたりするとき、運動に合わせてゆるやかに動きスムーズな運動をサポートするのも半月板の特徴です。

半月板を損傷すると、膝が曲げにくかったり伸ばしにくかったりするということですね。

曲げるときに強い痛みを伴うこともあります。

 

また側副靭帯損傷も併発することがありますが、靭帯損傷を起こすと膝をついたときの痛みよりも歩くことが難しくなったり、膝のぐらつきや膝折れなど不安定性のほうが目立つことが多いです。

 

大腿四頭筋腱炎・膝蓋腱炎(ジャンパー膝)

10~20代の若い年齢層で、特にジャンプを繰り返すようなスポーツをしている方に多くみられる病状です。

膝の前部、特に膝蓋腱(膝蓋骨と脛骨の間にある腱)の付着部位に痛みが現れます。また大腿四頭筋は膝の前面を通るため、床などで圧迫した際の圧痛が多いのも特徴の一つです。

 

痛みが片方だけでも両側の膝蓋腱に炎症を起こしている例が多くみられるので、両足のチェックが必要になってきます。

 

 

滑液包炎

膝の周囲にある滑液包(関節を滑らかに動かすための袋状の組織)という部分に炎症が起こることで、膝をついたときに圧迫して痛みが生じることがあります。

コブのようにはっきりとした膨らみが出来て、赤く腫れている場合もあります。

 

治療法・自宅での対処方法

それぞれの病態について、医療機関での治療法から自宅でできる対処方法まで紹介していきます。

 

医療機関での治療

変形性膝関節症や半月板損傷など、軟骨のすり減り・傷ついた部分を再生させる治療として再生医療が存在します。

 

再生医療

変形性膝関節症の進行予防・改善から半月板損傷や断裂へのアプローチ方法として注目されています。

再生医療とは何か?という所ですが、軟骨が傷ついた部分の再生を促す細胞や、炎症を抑える細胞などを膝に注入(あるいは点滴投与など)して軟骨・半月板の再生を促したり、痛みを抑える治療法になります。

 

●PRP(多血小板血漿)療法

自己血を採取して再生に関わる成分を抽出し、炎症を起こしている部位に投与して炎症や痛みを抑えます。

 

●幹細胞療法

脂肪細胞を採取して幹細胞を抽出(多くの場合はさらに培養)して、軟骨のすり減った部分や半月板の損傷部位に投与することで半月板の再生を促す方法です。

 

後述する半月板切除の手術を行うと、変形性膝関節症の発症リスクも上がると言われています。特に幹細胞療法は半月板を温存したまま治療が行えるので、「手術はどうしても抵抗がある・・・」「入院は難しい」といった方にも適合しやすい治療法といえるでしょう。

 

半月板手術

半月板を傷つけている場合は、自然に治ることは基本ありません。半月板は、血流が少ない場所であるため治癒が難しいからです。

損傷部分が小さい場合や痛みが強くない場合などは保存療法(手術しない方法)を選択する場合もありますが、半月板を切り取る手術が必要になることも少なくありません。

 

半月板縫合術

半月板を縫い合わせる方法です。

 

半月板切除術

半月板を切り取る方法です。半月板の手術において多く選択されますが、前述のとおり手術後の変形性膝関節のリスクも高くなるなどデメリットもあります。

 

痛み止め・湿布

医療機関でよく処方されるのは痛み止め・湿布になるでしょう。

変形性関節症の痛みの緩和に特化した「ロコアテープ」と呼ばれる湿布もあります。

 

ヒアルロン酸注射

膝への過負荷などで痛みを引き起こしている場合、痛みや炎症の軽減のために選択されることがあります。

効果は1~2週間程度は続きますが、定期的にヒアルロン酸を打っても効果が薄くなっていきがちで、感染のリスクもあるため一時的な対処方法として留めておきましょう。

 

リハビリテーション

痛み止めと同様に、医療機関で処方されることが多い治療法の1つです。

マッサージ・ストレッチ・可動域訓練などで膝の曲がりにくさや伸ばしにくさを改善したり、超音波・電気等を用いた物理療法で痛みの改善を行っていきます。

 

自宅でできる対処方法

自宅でできる対処方法は以下の通りです。

 

生活動作の見直し

  • 重たい荷物を持たない
  • 長時間歩かない
  • 階段を出来る限り使用しない
  • かがんで行う作業を極力避ける

 

などが挙げられます。

 

膝の変形や炎症は、日々のストレスの積み重ねによって引き起こされます。膝に負担がかかればかかるほど、変形は進みますがストレスのかかる生活習慣を止めるようにするだけで炎症が少しずつ収まり、痛みが軽減される例も少なくありません。

雑巾がけはモップに切り替える・買い物の際は出来る限りカートを利用するなど出来る代償手段は積極的に使うよう心がけておきましょう。

 

「健康のために・・・」と階段を積極的に使用する方もいるかと思いますが、階段の昇り降りは体重の7倍ほどの負荷が膝に加わる動作になるので特に注意が必要です。

 

体重コントロール

膝の変形と体重には強い関係があり、BMIが高い群ほど変形性膝関節症の発症リスクが高くなり、進行のリスク因子にもなります。また体重1kg減るごとに膝に荷重した際の負担が2-4kgほど軽減するという報告もあります。

無理のない減量を意識することで、健康的に膝の負荷を下げるようにしましょう。

 

筋力トレーニング

膝周りの筋力をつけることで、膝への負担を筋肉がカバーしてくれるようになります。

仰向けに寝た状態で丸めたタオルやペットボトルをひざ下に置き、膝で床に押しつぶすように力を入れることでも大腿四頭筋と呼ばれる大きな筋肉のトレーニングになるので試してみましょう。痛みが出ない範囲で行うことが大事です。

 

まとめ

自宅でできる痛みのコントロール方法も多くありますが、膝に水が溜まっている場合は早急に抜いてもらったほうがいいですし、専門家にアドバイスしてもらいながら筋力をつけて膝の痛みをカバーしたい場合は、外来リハビリテーションを利用するなど医療機関に頼ることを視野に入れたほうが良いでしょう。

 

もちろん痛みがあまりにも強い場合や膝が不安定といった場合には外傷があるかもしれないので、自己判断せず医療機関などの受診を検討しましょう。治すには手術しかないと言われた場合でも、再生医療が可能な医療機関であれば手術せずに治すことが可能な場合もありますので、いろんな情報を取り入れて自分に合った治療法を取り入れるのがベストです。

 

また、幹細胞などを利用した再生医療は、膝関節治療の分野で効果が認められている治療方法です。

まだまだ研究や治験が継続されている状況ですが、幹細胞などの再生医療は現在でも実際の治療にも使われている治療方法。今後はますます身近な治療として発展していくことでしょう。この機会に再生医療へ関心を持っていただき、知識として身につけるほか、実際に治療を検討していただければ幸いです。

膝の痛みや神経痛がなかなか治らない。病気や美容で長年悩んでいる。などの日常生活を送るうえで、少しでも気になった方は気軽にご相談ください。

 

表参道ヘレネクリニックでは体に負担のかからない再生医療を得意としており、いきなり治療に踏み出せない方の為にも事前カウンセリングを実施しています。

 

「気にはなるけど、 本当に今から予防が必要か判断できない」 「治療するか決まっていないけど、 まずは話を聞いてみたい」 そんな場合も全く問題ありません。気付かないうちに生死をさまようリスクを抱えている場合もございますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

 

・お問合せフォーム(LINE・We Chat・メール対応):https://stemcells.jp/contact/

【再生医療外来】 03-3400-2277

 

監修:医師 津田康史