関節リウマチはどんな病気?その初期症状と治療法

皆さんは「関節リウマチ」という病気を耳にしたことがありますか。関節が痛くなる、関節が動かしにくいなど様々なイメージがあるかと思います。

今回は、放置すると危険な「関節リウマチ」という病気の症状や治療法について説明していきます。

 

■関節リウマチとは、どんな病気なのか?

関節リウマチとは、身体に自己免疫反応の異常が引き起こされることによって関節を覆っている滑膜で炎症が慢性的におこる病気です。

滑膜部に炎症が起きることで慢性的に関節の炎症となり、患部に疼痛(痛み)や腫れ、そして関節が上手く機能しなくなり、身体的な構造に異常をきたしてしまいます。

その結果として日常生活が制限され、社会活動への参加を制限せざるを得なくなる怖い病です。

関節リウマチは、本来であれば自分を守るはずの免疫機能が何らかの異常を起こし、関節部位に対して攻撃的に働くことで同部の疼痛(痛み)や炎症を引き起こすと考えられています。

 

現在のところ、わが国では人口の約1%程度の方に発症する可能性があるとされる全身性の自己免疫疾患であり、男女比はおよそ1:3と、女性のほうが男性より多い病気と言われています。

 

■なぜ発症するのか?

実は、詳しい発症原因は現代においても明確になっておりません。

どうやら先天性の遺伝的要因と、周辺の環境的要素が複雑に組み合わさることで発症すると考えられています。

発症原因として遺伝的要因が約10%関与しており、発症リスクという観点(環境的な原因)として重要視されるのが喫煙歴です。それ以外にも歯周病やなど複数の要因が挙げられています。

画像検査は、レントゲンを中心に行われ、患部の手足部を実際に撮影して骨の表面が欠けて欠損していないか、骨隙間の距離が縮んでいないかどうかを診断します。

 

■初期症状

さて関節リウマチを発症するとどのような症状がみられるのでしょうか。

関節リウマチの初期症状について紹介します。

一般的に知られている関節リウマチの主な症状としては、「関節のこわばり」や、「関節部の疼痛」に「関節の腫れ」があります。なお、関節のこわばりとは、関節が自分の思うように動かない機能障害が起こっている状況です。

痛みを発症する関節に部位は、全身の中で、あらゆる場所で生じる可能性がありますが、特に手首や手指の関節部で引き起こされる傾向があり、多くの場合には複数の場所で症状を感じることが多いです。

もし病状が進行すると関節の変形や、関節の脱臼をはじめとして、関節が硬くこわばってしまい曲げ伸ばしが困難になるほどの変化を引き起こしてしまうことになります。

さらに、炎症が強くなると発熱や全身の倦怠感、また体重の減少や、食欲不振といった全身症状を伴うこともあるために日常生活が著しく制限されることに繋がります。

 

■治療法

関節リウマチの治療法は、「薬物療法」や「手術療法」が挙げられます。

それぞれの治療方法にメリットや、デメリットがあり、どれを選択するかは重症度や、合併症の有無、あるいは日常生活でいかに支障が起こっているかという不自由度の具合などを多角的に評価して判断することになります。

 

~生活習慣の改善~

まずは、関節リウマチという病気がいかなるものかを理解して、適度な運動と安静のバランスを考えながら、食生活などを含めた規則正しい生活習慣を送ることが重要です。また、禁煙も必要となります。

 

~薬物療法~

薬物療法は、関節リウマチにおける治療の中心的存在となっており、関節リウマチ患者における関節部位の炎症を抑えて、症状改善を目指すために行います。

治療薬としては、まずは抗リウマチ薬や、生物学的製剤があります。

この生物学的製剤とは、生物が産生するたんぱく質などの成分を改良して作製された新薬です。

関節リウマチに対する治療薬として使用できる生物学的製剤は、8種類程度あると言われています。

生物学的製剤に関しては、特に関節破壊を抑制する効果が際立って優れていると言われており、関節リウマチの症状をより軽度な状態に改善して維持することが可能になりました。

 

~手術療法~

患者様の中にはいろんな薬物療法などの治療を実施しても関節変形による機能障害が後遺症として残るような場合には、人工関節置換術や滑膜切除術などの手術治療が選ばれることもあります。

 

■まとめ

関節リウマチは進行性の病気であり、初期症状を覚えたら放置してはいけない病気です。

一般的には、関節リウマチにおける関節の破壊的な変化は、発症して概ね2年以内という期間で急速に進行することが判明しています。

いったん破壊されてしまった軟骨や骨関節は、元の正常な状態に戻すことができず、日常生活が制限されることがあることから早期診断および早期治療が非常に重要になります。

関節に違和感に感じたら専門の医療機関を早めに受診し、相談してみましょう。

 

監修:医師 津田康史