心筋梗塞にも前兆はあるのか?治療法や原因・対策をご紹介

心筋梗塞は発見や治療が遅れると、死に直結するとても怖い病気ですが、心筋梗塞にも前兆があることをご存じでしょうか?

 

心筋梗塞を起こした患者の半数は、何かしらの前兆を感じたと報告されています。

日本人の死因第2位にあげられる、心筋梗塞を含む心疾患は、食生活の欧米化、生活習慣、精神的なストレスなどが大きく関係。日本では、毎年約4万人の方が心筋梗塞で亡くなっています。

 

なかでも働き盛りの世代で増加傾向にあるため、他の世代と比べても特に注意しなければいけません。

この記事では、心筋梗塞の前兆や発症原因、治療法、対策などについてご紹介します。

 

生活習慣の乱れや普段の運動不足により、あらゆる未病が気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

1.心筋梗塞とはどのような病気なのか?

心筋梗塞は、心臓を取り巻く血管の一部が急激に閉塞する結果、心筋が壊死して心臓の機能低下や重度の不整脈を起こし、死に至る病気です。

春や夏に比べて、秋・冬の寒い時期に多い傾向。性別では、男性は30代〜60代、女性では70代から増加傾向にあると報告されています。

男性は喫煙や深夜の残業などの生活習慣に関わるものが多く、女性は閉経にともなう女性ホルモンの低下で、血管を保護する作用も低下することが大きく関わっているのです。

さらに、男性の場合は仕事が始まる月曜日に、女性は家事や家族の世話などにストレスを感じやすい土曜日に発症する傾向があります。

 

2.心筋梗塞は心不全の原因の一つ

心筋梗塞を起こした心筋は、十分なポンプ機能が働きません。

その結果、壊死のない部分の心筋が心臓全体の働きをカバーして、心臓に大きな負担がかかり、心不全を引き起こします。

心不全になると、心臓から送り出される血液の量が減るため、肺に水がたまって息苦しさが出現。さらに腎臓への血流も不足するので、むくんだり体重が増えたりします。

 

心臓の血液を押し出す力が低下する心筋症や、心臓の弁が十分に機能しない心臓弁膜症、先天性の心疾患も心不全の原因となるので注意しましょう。

 

3.心筋梗塞の前兆でチェックするポイント

心筋梗塞を発症した約半数の患者には、心臓に何らかの異変を感じても受診をせず、後に発症したというケースが報告されています。

ここでは心筋梗塞の前兆を見逃さないように、チェックするポイントをご紹介します。

 

3−1.胸の締めつけ感・痛み

心筋梗塞の前兆として、以下の症状がみられます。

● 数分から約10分程度の胸の痛み、胸の締め付け感、圧迫感
● 胸やけ
● 腕や肩、背中、あご、歯の痛み
● 階段の上り下りや、歩行などで痛みが表れたり、強くなったりする

心臓以外に感じる痛みを放散痛といい、左腕から左肩への放散が典型的ですが、右腕や右肩、両肩、あごなど上半身に痛みが現れることもあります。

心筋梗塞を起こした患者の約半数は突然発症しているため、前兆がすべての患者に起こるとは限りません。

 

3−2.心筋梗塞で確認しておきたい症状チェックシート

 

「これって心筋梗塞?」と慌てないために、基本的な症状をチェックしておきましょう。

心筋梗塞の症状は、痛みが治まらないのが特徴です。発見や治療が遅れると救命率が下がり、死亡する可能性があります。

以下のような異変を感じたら、一刻も早く救急車を呼びましょう。
● 胸や背中に突然激痛がおこる
● 突然の息苦しさ・呼吸困難
● 胸を締め付けられるような、圧迫されるような痛みが2~3分持続する
● 激しい動悸

 

4.心筋梗塞の一般的な治療方法と心臓再生医療

心筋梗塞を起こし、約20分以上経過すると心筋細胞の壊死が始まります。
ひとたび壊死を起こすと心臓は元に戻りません。

ここでは心筋梗塞の、一般的な治療法と心臓再生医療について解説します。

 

4−1.心筋梗塞の一般的な治療法

心筋梗塞の一般的な治療法として、薬物療法、心臓カテーテル治療、冠動脈バイパス術があります。

● 薬物療法は心筋梗塞の治療には必要不可欠です。
冠動脈を広げ血流を促し、患者の痛みの軽減や、新たに血栓を作らせないようにします。

● 心臓カテーテル治療は、メスを使わずに心筋梗塞の原因となる細くなった血管を広げる治療法です。

● 冠動脈バイパス術は、一般的にいう心臓の手術。

 

極度に細くなった血管や、閉塞をきたした血管に自分の胸や足などから採取した血管をつなぎ、血流を確保する方法です。

 

4−2.再生医療による治療

近年、iPS細胞(さまざまな体の組織や臓器の細胞に変化させる万能細胞)を使った心臓再生医療が新しい治療法として期待されています。

心筋梗塞などが原因で心不全が重症化した患者は、心臓移植と補助人工心臓治療しか有効な治療法がありません。そのうえ日本は深刻なドナー不足で、心臓移植による治療が難しい状況。

 

そこでiPS細胞を使って心筋細胞のシートを作り、心臓に移植することで心臓の働きを改善させます。現在では、移植治療の治験が行われているため、重症心不全の新しい治療法になりうると期待されています。

 

5.心筋梗塞の原因と対策

心筋梗塞の原因は、加齢や普段の生活習慣が大きく関わっています。

まずは自分の体の状態や、食生活、普段の生活習慣を見直してみましょう。自分の健康状態や生活習慣に問題があると気付いたら、改善を心がけてください。

 

5−1.心筋梗塞になる原因

心筋梗塞の原因は動脈硬化です。

動脈硬化は、加齢・喫煙・悪玉コレステロールが原因で血管がもろくなった状態を指します。

なお心筋梗塞を引き起こす危険因子は、以下のとおりです。
● 高血圧症
● 糖尿病
● 脂質異常症(高脂血症)
● 喫煙
● ストレス

 

これらの危険因子が3個以上ある方は、1つも当てはまらない方と比較して、心筋梗塞を発症するリスクが30倍に上がるので注意してください。

 

5−2.心筋梗塞にならないための対策・予防方法

心筋梗塞の予防は、生活習慣病の改善や治療が重要です。

● 暴飲暴食をせずバランスの良い食事を意識する
● 煙草の本数を減らしたり禁煙をしたりする
● すでに生活習慣病を治療中の場合は、治療を勝手に中断しない
● 冬は寒暖差に気を付け、寒さ対策を行う
● 年に1度の特定健診を受ける

特定健診はメタボリックシンドロームに着目した健診です。

 

40歳〜74歳の医療保険の加入者は、生活習慣病の予防として年に1回の特定検診を受けましょう。

 

6.まとめ:心筋梗塞の前兆は発生しないこともあるので生活習慣を整えて対策しましょう

 

心筋梗塞を起こした患者の約半数は、前兆があったと認めています。

しかし心筋梗塞は前兆もなく、突然として発症するケースもあり、発症の予測が難しい病気。

発見や治療が遅れると死に至ったり、心不全を引き起こしたりするとても怖い病気です。

 

心筋梗塞にならないためには、まず原因となる動脈硬化の予防が重要です。

健康的な毎日を送るためにも日頃の生活習慣を見直し、年に1回の特定検診・病気予防・早期発見を意識してください。

 

また、幹細胞などを利用した再生医療は、心筋梗塞の予防の分野で効果が認められている治療方法です。

まだまだ研究や治験が継続されている状況ですが、幹細胞などの再生医療は現在でも実際の治療にも使われている治療方法。

今後はますます身近な治療として発展していくことでしょう。この機会に再生医療へ関心を持っていただき、知識として身につけるほか、実際に治療を検討していただければ幸いです。

 

膝の痛みや神経痛がなかなか治らない。病気や美容で長年悩んでいる。などの日常生活を送るうえで、少しでも気になった方は気軽にご相談ください。

 

表参道ヘレネクリニックでは体に負担のかからない再生医療を得意としており、いきなり治療に踏み出せない方の為にも事前カウンセリングを実施しています。

 

「気にはなるけど、 本当に今から予防が必要か判断できない」 「治療するか決まっていないけど、 まずは話を聞いてみたい」 そんな場合も全く問題ありません。気付かないうちに生死をさまようリスクを抱えている場合もございますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

・お問合せフォーム(LINE・We Chat・メール対応):https://stemcells.jp/contact/

【再生医療外来】 03-3400-2277

 

監修:医師 津田康史