手の甲や肘下に浮き出る血管。昔はなかったけれど最近目立つ…、手の高さによって浮き出る様子が違う…、など気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、手に血管が浮き出る原因、その対処法についてお話します。
目次
なぜ手に血管が浮き出るのか
血管には動脈と静脈があります。静脈は体の表面に近いところにあり、手に浮き出ているのは、この静脈になります。
手に血管が浮き出る原因はさまざまです。大きく分類すると、病気によるものと、そうでないものがあります。
病気によるもの
高血圧の方だと、通常動脈内の圧が高くなりますが、高血圧による心臓の病気(心不全など)があると静脈内の圧が高くなることがあります。
そのほか、動脈硬化になると血がドロドロになりやすく血流が悪くなるため、静脈の血流にも影響します。
これらの結果、血管がふくらみ、血管が浮き出ることにつながります。
病気でないもの
手を心臓の高さより下げると血管が浮き出て、心臓の高さほどに、またはそれ以上に手を上げると血管の浮き出かたが軽くなる場合、病気の可能性はかなり低いです。
これは心臓からの血流の流れやすさによる、生理的な変化です。
ここからは病気以外の原因について説明します。
老化
血管も年齢とともに老化するため、動脈硬化の段階までいかなくとも、血管の壁が厚くなって血流が悪くなりやすいです。
また、手の甲や腕の皮膚の弾力がなくなり張りも低下するため、より血管が浮き出てきやすくなります。
遺伝によるもの
若いころから血管が浮き出ている方は、遺伝によるものも考えられます。血縁者に若いころから血管が浮き出ている方が多い場合はその可能性が高いです。
皮下脂肪の少なさによるもの
手の甲はもともと皮下脂肪が少ない場所ですが、痩せているとより皮下脂肪が減り、その分、血管が浮き出て見えます。
紫外線、乾燥によるもの
紫外線を浴び続けてしまうと、皮膚の新陳代謝が遅れ、その結果、皮膚が老化し張りがなくなってしまいます。
張りがなくなるぶん、血管が目立ってしまいます。
また、乾燥も皮膚の老化の原因になりますが、紫外線は皮膚の乾燥を助長します。手は紫外線を浴びやすい場所ですので、全ての方が多少なりとも紫外線による影響を受けているでしょう。
冷えやストレスによるもの
体が冷えたりストレスが増えると血行不良になり血液が停滞してしまいます。その結果、血管が浮き出てしまいます。
参考)
腕の血管がボコボコ浮き出る!原因と対処法を徹底解説! (currentjp.com)
手に浮き出る血管への対処方法
手に浮き出る血管への対処法としては、保存的な方法(治療行為を要しない方法)と治療的な方法があります。
保存的な方法
治療行為を要しない、自分での対処方法について説明します。
血行不良を改善させる
血流をよくするために身体をあたためたり、運動を心がけましょう。適度な筋肉トレーニングも身体があたたまり効果的です。
入浴しながら足や手をマッサージするのもいいでしょう。
紫外線、乾燥を防止する
季節を問わず、UVクリームをしっかり塗る、外出時は手先までカバーするなどして紫外線予防を心がけましょう。
また手を洗った後や水仕事の後は特に、保湿クリームといった保湿剤を塗るようにし、乾燥を防ぎましょう。
治療的な方法
医療機関で受ける改善方法について説明します。
病気の治療
高血圧による心臓の病気や、動脈硬化の原因になる病気(高脂血症や糖尿病)が疑われる場合は、医療機関を受診し、内服治療の必要性について、医師の指示を受けましょう。
体外式レーザー
皮膚の上からレーザーを照射して、手の血管を収縮させる方法です。
硬化剤注入療法
手の血管に硬化剤を注入し、血管をふさぐという方法です。
血管内レーザー
細い管を静脈内に挿入して、内側からレーザーで血管を焼いてふさぐという方法です。
脂肪注入
濃縮した自分の脂肪を、手の甲に注入する方法です。血管が浮き出るという根本へのアプローチではありませんが、見た目の改善に期待ができます。
いずれの治療も、個人個人で適応になるかどうか医師の判断が必要であり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
また、手の血管の場合は「静脈瘤」という病気の診断が下りることがないので、全ての治療が自費診療になります。
費用面でも検討が必要になるでしょう。
治療を希望する場合は、治療実績のある病院やクリニックを選び、医師によく相談のうえ、治療方法を決めましょう。
参考)
【新治療】ハンドベイン(手に浮き出た血管)を改善する方法 (theclinic.jp)
まとめ
今回は、手に血管が浮き出る原因、その対処法についてお話ししました。ポイントは以下です。
・手に血管が浮き出る原因には、病気によるものとそうでないものがある
・対処方法としては、自分で対処する方法と医療機関で治療する方法がある
・医療機関で治療する場合は、各治療における適応の有無、メリット・デメリット、費用面を医師と相談のうえ、方法を決める
これらを理解したうえで、自分の場合はどの原因によって起きているのか、どの対処法を検討するのかを考えていきましょう。
監修:医師 津田康史