坐骨神経痛は、足に痛みが出たり、痺れが出たり、長く歩けなくなってしまうことなどが特徴的な疾患です。
坐骨神経痛を発症してからも、普段と変わらず仕事や家事を続け、徐々に症状が悪化してくることもあります。今回の記事では、坐骨神経痛の方がやってはいけないことについて解説していきます。坐骨神経痛が悪くならないように、自分でも管理できるようにしていきましょう。
目次
坐骨神経痛の方がやってはいけないこと【一覧】
最初に、坐骨神経痛の方がやってはいけないことは下記の6つです。
- 重たいものを持つ
- 過剰にストレッチを頑張る
- 過剰に安静にする
- 激しい運動をする
- 長時間同じ姿勢をとる
- 体重を増やしてしまう
坐骨神経痛が起きる原因から、なぜこれらの動作を行ってはいけないのかについて解説していきます。
坐骨神経痛とは
最初に、坐骨神経痛について解説します。
坐骨神経痛とは、ももの裏からふくらはぎにかけて、強い痛みが走る状態のことを言います。坐骨神経は、腰から枝分かれした神経が何本か束になって、ももの裏を通ります。ひざから下では、神経がさらに枝分かれしていきます。ひざ下で枝分かれする前の、ももの裏の神経を坐骨神経と呼びます。腰〜ひざ裏あたりまでで、神経を刺激する何かが生じると坐骨神経痛を発症する可能性が出てきます。
坐骨神経痛を発症する疾患としては、腰椎椎間板ヘルニアや、変形性腰椎症、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群など、さまざまなものが考えられます。
坐骨神経痛の方がやってはいけないこと【解説】
ここからは、坐骨神経痛の方がやってはいけないことについて解説していきます。
重たいものを持つ
坐骨神経痛が出る原因として、腰のヘルニアや腰の骨の変形、すべり症などが考えられます。そのため、重たいものを持ち、腰に負担がかかるような状態は避けなければなりません。
どうしても重たいものを持たなければならない場合は、上半身が曲がりすぎないように注意し、足を深く曲げて荷物を持つ必要があります。前傾姿勢で椎間板への圧力は強くなるため、上半身を伸ばしておくことで、椎間板へのストレスを減らすことができます。
過剰にストレッチを頑張る
坐骨神経痛を発症する方の中には、もともと慢性的に腰痛があり、腰回りの筋肉が硬い状態の人も多いと思います。
坐骨神経痛が出たことをきっかけに、腰回りのストレッチを闇雲に行うこともリスクがあります。間違ったストレッチは、腰の骨の変形やズレ、ヘルニアなどを悪くしてしまう可能性があります。ストレッチをする場合は、医療機関の専門家と相談をしつつ、正しい方法で行う必要があります。
過剰に安静にする
坐骨神経痛がある状態でも、普通の生活はなんとか送れる場合があります。坐骨神経痛の痛みは強いので、痛みを出したくないという思いから、過剰に安静にしてしまう方もいらっしゃいます。過剰に安静にすることは、坐骨神経痛の根本的な改善にはつながりません。安静にすることにより、体を支える筋力が落ち、さらに坐骨神経痛が出やすい体になってしまう悪循環に陥ってしまうことが考えられます。痛みが出ない範囲で通常通りの生活を送り、筋力を維持していくことは大切です。一般的な腰痛でも、治療のための安静は推奨されていません。
激しい運動をする
坐骨神経痛の方は、すでに腹筋や背筋などの筋力が低下していることが考えられます。筋力が落ちていると腰回りに負担がかかり、腰回りの靭帯や筋肉、椎間板などにダメージが蓄積し、坐骨神経痛を発症していることが考えられます。
そのため、ジャンプや急激な動作などを伴う激しい運動をしてしまうと、神経を傷つけてしまい、さらに坐骨神経痛を悪化させる可能性が考えられます。
長時間同じ姿勢をとる
長時間同じ姿勢でいると、腰回りや足にかけての血流が悪くなります。また、椎間板に対しても、一定の部位にストレスがかかり続けるため、変形が起こりやすくなってしまいます。
そのため、長時間同じ姿勢でいることは避け、定期的に体を動かすようにして特定の部位に対して負担がかからないようにしていきましょう。
体重を増やしてしまう
体重が増えてしてしまうと、お腹が重くなるため反り腰になります。
腰の骨に変形があったり、すべり症があったりする場合には、症状が増悪する可能性があります。体が重たくなってしまうと動くことも面倒になってしまったり、姿勢のコントロールが大変になってしまったりします。普段から食生活などに気をつけ、体重が増加しないように気をつけていきましょう。
まとめ
今回は、坐骨神経痛の方がやってはいけないことについて解説してきました。
坐骨神経痛は、腰のヘルニアや腰の骨の変形、脊柱管狭窄症などで生じるものです。腰に負担がかかりすぎないようにすることが大切になってきます。坐骨神経痛が疑われる時には、何が原因で坐骨神経痛が生じているのか、専門家に早めに相談するようにしてください。そして、適切な対処をしていきましょう。
中には、腰が原因ではないこともあるので、正確な診断を受けましょう。
参考文献
・芝田京子 他:腰痛予防のための非侵襲での腰椎椎間板負荷の推定法、LIFE2012、p1-3
http://www.jslst.org/documents/Conference/2012/pdf/GS2-7-3.pdf
・熱田裕司:腰痛をめぐる常識の基礎、日本腰痛会誌,12(1)p10-15、2006
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/12/1/12_1_10/_pdf/-char/ja
監修:医師 津田康史