脂肪肝で注意すべき【NAFLD/NASH】とは?症状や予防方法を解説

「検査に引っかかって、脂肪肝になるリスクがあると言われた」、「NAFLD/NASH(ナッフルド/ナッシュ)の症状や改善策・予防方法を知りたい」など、脂肪肝について不安に思ったことはありませんか。

 

脂肪肝は、日本人の4人に1人がなるといわれており、動脈硬化などのさまざまな生活習慣病を引き起こす原因になります。肝臓は「沈黙の臓器」といわれているため症状が現れにくく、注意が必要です。

特にNASHの状態になってしまうと改善が難しいので、予防や早期発見・早期治療が大切です。

 

今回は、脂肪肝・NAFLD/NASHの症状や原因、予防や治療について紹介します。

脂肪肝・NAFLD/NASHにならないためにも、ご確認していただければ幸いです。

 

なお、過去にも脂肪肝に関する内容を紹介しているため、より詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。

参照:【医師監修】脂肪肝の改善方法とは?

 

1.脂肪肝とは

 

脂肪肝とは、中性脂肪が肝臓の細胞に3割以上蓄積した状態です。

 

日本人の4人に1人が脂肪肝といわれているため、食生活が乱れている方は注意しなければいけません。脂肪肝には以下の種類があります。

  • アルコールが原因である「アルコール性肝炎」
  • 原因がアルコールや疾患以外である「非アルコール性肝炎(NAFLD)」

 

1−1.アルコール性脂肪肝炎

 

アルコール性脂肪肝炎は、習慣的に大量のアルコールを摂取したことが原因で、肝臓に中性脂肪やコレステロールが蓄積した状態です。

 

動脈硬化など、さまざまな生活習慣病を引き起こすため、注意が必要です。

 

アルコール性脂肪肝炎になる原因は、個体差があるので、必ずしも大量のアルコール摂取が原因で発症するわけではありません。、女性の方が少ないアルコール量で発症することもあります。

 

自覚症状がなく、「食欲不振・倦怠感・発熱」がみられることがありますが、見過ごされる傾向もあるので気をつけなければいけません。進行すると肝臓が腫れて右上腹部痛や黄疸がみられるほか、尿の色が濃い茶色、腹水、浮腫が出現します。

 

アルコール性肝炎と非アルコール性脂肪肝性肝炎については厚生労働省でも解説されているので、併せてご確認ください。

参照:アルコール性肝炎と非アルコール性脂肪性肝炎 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

 

 

1−2非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:ナッフルド)

 

アルコールを摂取しないのに、脂肪肝から脂肪肝炎・肝硬変に進行した肝臓病を、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルド)」といいます。

 

NAFLDは、生活習慣病と密接な関係があり、以下の2種類にわけられます。

  • 進行性のない非アルコール性脂肪肝(NAFL:ナッフル)
  • 進行性のある非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)

 

NAFLは肝臓に余分な脂肪が蓄積する疾患ですが、病気がほとんど進行しないタイプで、NAFLDのうち80~90%を占めます。

しかし、残りの10%~20%のNASHは、肝組織に炎症が起きて肝硬変に進行したり、肝がんを発症したり、悪化の危険性があるので注意してください。

 

以下、NAFLD/NASHに関して、日本消化器病学会ガイドラインが発表している情報です。

参照:NAFLD/NASHガイド|患者さんとご家族のためのガイド|日本消化器病学会ガイドライン (jsge.or.jp)

 

 

2.注意が必要な非アルコール性脂肪疾患NAFLD)や非アルコール脂肪肝炎NASHの症状

 

NAFLDには、ほぼ自覚症状がありません。

 

動脈硬化を引き起こすため血流が悪くなり、全身に酸素や栄養分が補給されにくくなります。このため、疲れやすい、肩こり、集中力の低下などの症状がみられることがあります。

 

思い当たる方は、健康診断などで血液検査を受けて肝機能をチェックしてください。

 

そのほか、以下の症状が現れることもあるので、併せて参考にしてみましょう。

●      肝疾患を推定する「AST/ALT」が、NAFLDでは軽度上昇(2~4倍程度)
NASHでは、大きく上昇●        血小板数は、肝臓の線維化が進行すると減少

●        肝線維化マーカーは、ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲンが高値

 

脂肪肝はNASHに進行したり、狭心症や心筋梗塞を合併する危険性が高く、生活習慣病と密接な関係にあります。

 

 

3.非アルコール性脂肪疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASHになる原因

NAFLDは、メタボリックシンドロームの「肝臓の表現型」といわれています。

 

NASHの原因は、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。生活習慣病から脂肪肝を発症し、内臓脂肪から炎症を起こす因子が分泌され、炎症が引き起こされる仕組みです。

 

しかし最近の研究では、NASHの発症には、インスリン抵抗性や酸化ストレスなどの、遺伝的な体質が関わっていることがわかっています。家族や親族にNASHを罹患している人がいる場合は、特に注意が必要。

 

肝機能の異常を指摘されたら、NASHの可能性を考えての受診をおすすめします。

 

 

4.非アルコール性脂肪疾患(NAFLD)や非アルコール性脂肪肝炎(NASHの予防方法と治療方法

 

 

NASHになると治癒は困難で、15年生存率は60%程度。

 

予防方法の1つとして、日頃からのケアや早期発見・早期治療が大切です。日頃から生活習慣を見直し、脂肪肝にならないように気をつけましょう。

 

 

4−1.NAFLDやNASHにならないための予防方法

NAFLDやNASHは、生活習慣病と密接な関係にあるため、生活習慣を見直すことで予防できます。

 

  • 食生活の見直し
    糖質の過剰摂取は、脂肪肝になりやすいため気をつけましょう。特に果物の果糖は吸収がよく、肝臓で中性脂肪に変わるので注意が必要です。

 

  • 運動
    脂肪は筋肉で燃焼されるため、ウォーキングなどの有酸素運動や軽負荷の筋トレを行いましょう。筋肉量が増加し、基礎代謝を高めることができます。

 

  • 体格の確認
    BMIが25以上、ウエスト周囲径が男性85cm。女性の場合は、90cm以上になっていないかを確認しましょう。

 

  • 検査
    血液検査や画像検査を受けて、肝臓の状態を定期的にチェックしましょう。

 

 

4−2.NAFLDやNASHになってしまった後の治療方法

NAFLDやNASHの治療方法は、メタボリックシンドロームの制御と肝障害の進展予防に注意する予防方法です。

 

食事療法や運動療法など、日常生活に関する取り組みを行います。肥満気味の場合は、標準体型を目指すことを推奨。まずは、体重の7%を目標に減量しましょう。

 

減量で効果が不十分だった場合は、薬物療法を積極的に行います。放置すると、肝硬変に進行したり、肝がんを発症したりするリスクが高いので、注意しなければいけません。

 

有効とされている薬としては、ビタミンE、糖尿病や脂質異常症など。一方、長期で肝硬変への進行や肝臓がん発症を抑制できるかは、はっきり証明されていない部分もあります。薬物療法を行う際は、主治医と相談しながら服薬してください。

 

以下、日本肝臓病対策支援団体で公表されている内容です。

参照:非アルコール性脂肪肝炎とその治療について|肝臓の病気のお話|広報事業|一般財団法人 日本肝臓病対策支援財団 (jldf.jp)

 

 

5.まとめ:脂肪肝で注意が必要なNAFLDやNASHは生活習慣を見直すことで予防に効果があるとされています

 

脂肪肝には、アルコール性肝炎と、非アルコール性肝炎(NAFLD)があります。

自覚症状はほとんどありませんが、進行すると右上腹部痛や黄疸、腹水や浮腫がみられます。

 

NAFLDには、進行性のない非アルコール性脂肪肝(NAFL:ナッフル)。進行性のある非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)があります。

 

なお、NAFLD主な症状は以下のとおりです。

  • 疲れやすい
  • 肩こり
  • 集中力低下
    など

 

そのほか、NAFLDは狭心症や心筋梗塞を合併したり、NASHに進行したりする危険性もあります。NASHに進行すると治癒は困難で、15年生存率は60%程度です。

 

効果的とされている予防方法を実践したい方は、日頃からの食事や運動など生活習慣を見直しましょう。

 

なお、脂肪肝に関する改善方法の記事は過去にも紹介しているため、気になる方は以下の記事もご参照ください。

参照:【医師監修】脂肪肝の改善方法とは?

 

監修:医師 津田康史