【男性と女性では免疫力に差がある?】女性の免疫力が低下する原因と免疫力を高める方法とは?

免疫力は、病原体など外敵から身体を守るメカニズムです。私たちの周りに存在する無数の病原体から、この免疫システムが私たちを守っています。

ただ、免疫力というのはさまざまな要因でその仕組みが働きにくくなるケースがみられ、特に女性はホルモンの変動や生活スタイルの影響を受けやすいのが実情です。

 

今回は女性の免疫システムの特徴を交えながら、免疫力が下がる原因を解説します。またどのようにして免疫力を維持・向上させることができるか、という部分まで考えていきましょう。

 

女性の免疫システムの特徴

男性と女性ではベースの免疫力に差があると言われていて、女性のほうが一般的に免疫力は強く備わっています。

 

ただし先述したとおり女性はホルモンの変動の影響を受けやすかったり、ストレスに対する反応が男性とは異なったりすることで免疫力の変動も大きいのが実情です。

また女性は免疫システムが反応しすぎる傾向があります。免疫システムがよく働くというのは病原体に強くなるからメリットばかりなのでは?と考えてしまいそうですが、一概にそうともいえません。免疫系が過剰に反応するというのは、自分の正常な細胞を攻撃してしまうリスクもはらんでいます。

 

自己免疫疾患(自分で自分の身体を攻撃してしまう病気)が女性に多いのも、免疫力の変動の強さが原因というのが通説です。

 

女性の免疫力が低下する原因

女性の免疫力の低下は、以下の要因やまたそれぞれが重なって起こります。

 

月経周期による変動

排卵期前はエストロゲンという女性ホルモンが増加し免疫力が高まりますが、月経前後は免疫システムの働きを抑制するプロゲステロンが増えます。そのため免疫力が低下しやすくなります。

 

妊娠・出産

妊娠中は母体の免疫システムが抑制されます。これは胎児を異常な因子として捉えてしまい、攻撃してしまうことのないよう、母体に備わった仕組みと言われています。

 

また出産後も急激なホルモン変化により、一時的に免疫系のバランスが崩れやすくなります。母乳を出すためにプロラクチンという免疫抑制に働くホルモンが多く生成されたり、出産時の出血による鉄分の低下・母乳育児によって免疫力維持に必要な栄養素が減る事によって免疫力は下がるからです。タンパク質や鉄分、ビタミン類や亜鉛などは免疫細胞の生成や免疫細胞の働きの調整に関わる栄養素だからです。これらの理由から、妊娠〜出産後の期間は一時的に感染症にかかりやすくなるといえるでしょう。

 

更年期

女性は更年期に差し掛かると、免疫力を高めるエストロゲンの分泌が急速に減少します。

男性も更年期にはテストステロンと呼ばれるホルモンが減少していきますが、こちらは免疫の抑制に関わるホルモンであることと減少のペースも緩やかであるため、更年期も女性のほうが免疫力低下を起こしやすいと言われています。

 

不眠症(睡眠不足)による影響

女性は上記の月経周期やそれによるホルモンの変動、妊娠や出産・更年期症状などにより、睡眠の質が悪くなりがちです。

実際、不眠症のリスクは男性と比較し女性のほうが1.5~2倍高いとの報告がみられます。さらに不安やうつ症状を経験しやすい傾向もあり、これらも睡眠障害につながります。質の良い睡眠は免疫細胞の生成と活性化に不可欠な要素ですから、睡眠不足は直接的に免疫機能を低下させるということですね。

 

免疫力を上げる方法

それでは、免疫力の低下をカバーしたり、免疫力を高めて抵抗力を上げるためには具体的に何に気を付けると良いのでしょうか。

 

免疫力が低下する原因でもお伝えしたとおり、女性の免疫力はホルモンバランスと密接な関係があります。ホルモンバランスを整えるには、生活習慣の改善が必要です。バランスの取れた食事をして、睡眠時間をしっかり確保することが必要になるでしょう。また、適度な運動も自律神経の働きを整え免疫力を高めるためには欠かせません。

以下に、具体的な対策やケアの方法を紹介していきます。

 

バランスの取れた食事

鉄分、カルシウム、ビタミンDなど、女性に特に重要な栄養素を意識的に摂取することが大切です。赤身の魚や肉類、乳製品や緑黄色野菜をバランスよく摂るようにしましょう。タンパク質も免疫細胞を作る材料となるため積極的に取り入れるのがよいでしょう。

 

また大豆製品などにはイソフラボンが含まれていて、エストロゲンほど強い作用はありませんが、「植物性エストロゲン」と呼ばれ免疫力を高める作用を持ちます。

良質なタンパク質でもあるので、抗体・免疫細胞を生成する働きも持つ、免疫力を高めるにはうってつけの食材です。そのほか炎症を抑える働きがあります。

 

抗酸化物質も、免疫細胞の酸化ダメージを保護する役割があります。柑橘類や緑黄色野菜に豊富に含まれています。

青魚にたくさん含まれる栄養素としてメディアでもよく紹介される「オメガ3脂肪酸」も免疫細胞の活性化の役割を担っているため、サバやイワシ・サンマなどその時期で旬の魚を楽しみながら食事に取り入れてみてもいいかもしれませんね。

 

サプリメントの活用

そもそもバランスの良い食事を摂れたら苦労しない、という方もいるでしょう。

特に現代社会ではゆっくり食事をしたり、まんべんなく食材を買いそろえるということは難しいかもしれません。

 

今はサプリメントも手軽に手に入るので、栄養素の不足が気になるという場合は活用してみましょう。女性に不足しやすい鉄分に関しては、貧血の診断があった場合に鉄剤を処方してもらえる場合もあります。

 

注意点として、食事で栄養素を摂取するにしろサプリメントを取り入れるにしろ、過剰摂取はよくありません。特定の栄養素だけを取り入れるのも同様です。免疫力を気にするあまり食事が偏りすぎたり、サプリメントに頼りすぎたりしないようにしましょう。

 

睡眠時間の確保

睡眠に関しては、食事よりもコントロールしにくい例が多いかもしれません。

 

  • ベッドに入る前に軽いストレッチやヨガを行う
  • 寝る前のカフェインの摂取は控える
  • 夜のアルコール摂取を控える
  • アロマテラピーを活用する

 

などといった対処法が存在します。

ストレッチやヨガ、またアロマは身体をリラックスさせるのに有効です。アロマで使う精油は脳に直接作用し筋肉の緊張を落とすものもあるので、試してみてもよいでしょう。

 

またカフェインは覚醒作用があるので、睡眠前に摂取することはおすすめできません。

 

アルコールについては、「お酒を飲んだほうがよく眠れる」という方もいるかと思います。確かにアルコール自体は眠気を催しますが、アルコールを代謝する過程で体の体温が上がったり、血糖値の変動を引き起こしたりと眠りの質を悪くする要素が多く含まれます。

これが、「お酒を飲むと眠りが浅くなる」と言われる所以ということですね。

 

あまりにも不眠症状が目立つ場合には、専門医に相談することも視野に入れましょう。

 

ホルモン補充療法

更年期以降は、必要があればホルモン補充療法も選択できます。

 

適度な運動

女性の免疫力向上に効果的な運動として、ヨガ、ピラティス、有酸素運動が挙げられます。ヨガは柔軟性を高め、ストレス軽減にも効果的です。ピラティスは体幹の軸となる筋群を鍛え、姿勢改善や体幹強化に役立ちます。有酸素運動は血液の循環を促進し、免疫細胞を全身に行き渡らせるのがメリットと言えるでしょう。

 

また運動そのものが自律神経を整える役割を果たします。自律神経が適切に働くことが免疫力の生成や働きに寄与するため、継続して行えるよう短い時間からでも運動の習慣をつけるのが良いですね。

 

まとめ

これらの方法を総合的に取り入れることで、女性特有の免疫系の変動に対応して健康的な生活を保つことができます。もちろん、すべてを取り入れようとすると逆にストレスになりかねません。個人の状況や体質に合わせて、無理のない範囲で実践していくことが大切です。

長期的な視点で健康管理を行い、抵抗力をつけて活力ある生活につなげましょう。

 

また、幹細胞などを利用した再生医療は、免疫力向上において効果が認められている治療方法です。

まだまだ研究や治験が継続されている状況ですが、幹細胞などの再生医療は現在でも実際の治療にも使われている治療方法。今後はますます身近な治療として発展していくことでしょう。この機会に再生医療へ関心を持っていただき、知識として身につけるほか、実際に治療を検討していただければ幸いです。

 

表参道ヘレネクリニックでは体に負担のかからない再生医療を得意としており、いきなり治療に踏み出せない方の為にも事前カウンセリングを実施しています。

 

「気にはなるけど、 本当に今から予防が必要か判断できない」 「治療するか決まっていないけど、 まずは話を聞いてみたい」 そんな場合も全く問題ありません。気付かないうちに生死をさまようリスクを抱えている場合もございますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

 

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【再生医療外来】 03-3400-2277

 

監修:医師 津田康史