ランニングは変形性膝関節症の原因になる?注意すべき点とは!

ランニングは特別な器具を必要としないため、手軽に始められる有酸素運動として人気の高い運動です。

しかし当然ながら着地の際、繰り返し膝に衝撃が来ることから膝への負担を心配する方も少なくありません。膝といえば変形が起こりやすい場所でもあるため、「ランニングを続けるのは、思っている以上に膝に良くないのでは?」と考えるのは自然なことですよね。

 

このページでは、ランニングと変形性膝関節症の関係をわかりやすく解説していきます。変形性膝関節症のリスクを軽減しながら、健康的にランニングを続けたい方はぜひ参考にしてみてください。

 

ランニングは膝に負担がかかる運動

結論としてランニングは膝へ少なからず負担をかける運動です。

着地したときに膝にかかる衝撃は、体重の3~4倍と言われています。それを何度も繰り返す動作であるため、ある程度膝への負担はかかるでしょう。

 

ランニングは変形性膝関節症の原因になるのか?

それでは、本題の「ランニングは変形性膝関節症の原因になり得るのか?」といった部分ですが、直接的な原因にはなり得ないというのが概ねの見解です。

 

また変形性膝関節症の発症には多くの要因が絡み合っています。年齢や肥満の度合い、筋力低下や職業特性など発症リスクを上げる要素は幅広いため、ランニングの影響だけを特別に取り上げて研究することは難しいというのが実情です。

 

ランニングがもたらす膝へのメリット

フォームに注意を払ったり、適切な体重コントロールがされたうえでのランニングであれば問題にならない・むしろ適切な負荷が膝にかかることで膝を強くする要因になると言われています。

これは軟骨細胞を刺激し、プロテオグリカンと呼ばれる物質の産生を促進するからです。プロテオグリカンは軟骨の弾力性と耐久性を高める役割があるので、足の接地時に衝撃を受けることは必ずしも膝に悪いことばかりではなく、適度な衝撃であれば膝にメリットを生むということを示しています。

 

ランニング中の関節の動きは関節液の循環も促進します。これにより、軟骨への栄養供給が改善され老廃物の除去が促進される利点があります。またランニングそのものにも大腿四頭筋やハムストリングスといった膝周囲の筋肉を強化する効果があり、長期的に膝の保護につながるメリットも多く存在するのです。

 

不適切な状態でのランニングは膝を痛める可能性大

例えば、体重過多の状態で長時間ランニングをすれば、それだけ膝には負担がかかります。軟骨がすり減ったり、変性して硬くなってしまう場合もあるでしょう。また間違ったフォームで走ったり、合わないシューズを履いたまま走ることも膝への負担を必要以上に増大させる要因になります。

安全にランニングを続けるためには、膝への負担をあらゆる方法で「適切な状態」へ持っていくことが大事というわけですね。

 

ランニングをする上での注意点

それでは上記を踏まえて、ランニングによる膝への負担をできるだけ減らす具体的な方法を見ていきましょう。

 

体重コントロール

ランニング時には体重の3~4倍の負荷がかかる、ということは体重が増えれば自ずと膝への負担がかかるということは容易にイメージできるかと思います。

さらに膝周りの筋力が弱い場合にはそれ以上の負担が膝に繰り返しかかります。

 

またダイエットのためにランニングを始めた、という場合にもまだ体重が減っていない最初の段階では膝への負担がかかりやすいことを理解しておきましょう。

その場合は、最初のうちは距離を短くしたり、ランニングとウォーキングを交互に繰り返すインターバル走を取り入れるのもオススメです。

体重コントロールといってもすぐに体重を減らせるわけではないですから、後でも紹介する衝撃吸収性の高いシューズや膝サポーターなどランニング用のグッズを採用することも検討しましょう。

 

正しいフォームで走る

「正しいフォーム」で走ろうとするとき、どのような点に気を付ける必要があるのでしょうか。

 

背筋をきれいに伸ばす(過度な前傾姿勢にならない)

骨盤をしっかり起こし、背筋をまっすぐ伸ばした状態〜軽い前傾姿勢でいることは前方への推進力を高め、ケガが少ないフォームといわれています。

しかし過度な前傾姿勢は膝や腰に負担をかけるうえ、後で紹介するフォアフット走法も行いにくくなります。

そもそも前傾姿勢のまま走っていると、胸が圧迫され肺の拡張が制限されるので呼吸が苦しくなりがちです。その結果フォームがどんどん崩れてしまい膝だけでなく様々な箇所に負担をかけることも。必ず骨盤を立て、背筋を伸ばした状態で走るようにしましょう。少し遠くを見るように意識すると、自然と背筋が伸びてきます。

 

フォアフット(やや前方・つま先寄り)で着地する

足を着地させるとき、踵から着地すると膝に負担がかかります。そのため、足裏のやや前方で着地するのがよいでしょう。これをフォアフット走法といいます。重心は個人差があるため、必ず前述のように骨盤を起こし背筋を伸ばした状態で走ると自然と足裏の前方で着地できるようになります。

 

背筋を伸ばしてもフォアフット走法が行いにくい場合は、骨盤がうまく起こせず重心が後方寄りになっている可能性があります。この状態で無理にフォアフット走法を行おうとするとアキレス腱などを痛める危険性があるので、これとは別の手段で膝の負担をカバーするようにしましょう。

 

ケイデンス(着地回数)を上げる

ケイデンスというのは、1分間の足の着地回数のことです。

走るスピードにもよりますが、膝や腰に負担のかかりにくい接地回数は1分間に170~180ステップ(つまり片側で1分間に85~90ステップ)と言われています。

自然に走っているときには多くのランナーのケイデンスが150~200の間に分布されます。

 

低身長であればあるほど自然と接地回数が上がりますが、高い身長の方の場合にはステップ幅が大きくなるため、同じ距離を走ってもケイデンスは少なくなりがちです。ただ接地回数が多いほど、膝への負担が分散されることを覚えておきましょう。

 

急に増やすとフォームが崩れたり、ステップ幅を気にしすぎて本来のランニングの楽しみが損なわれる可能性があります。1か月ほどかけて少しずつケイデンスを上げていくのがベストです。

 

自分にあったシューズの使用

膝の負担を軽減するときには自分に合ったランニングシューズも欠かせません。

 

十分な衝撃吸収性

衝撃を吸収するクッションのあるシューズは、膝への負担を軽くします。

 

土踏まず(アーチ)のサポート機能

土踏まずの大きさにも個人差があります。

自分がハイアーチ(土踏まずが大きい)・ノーマルアーチ・ローアーチ(土踏まずが小さく、偏平足)の、どのタイプに当てはまるのか確認してそれぞれのアーチのサポート機能があるシューズを選ぶとよいでしょう。

 

本来土踏まずは衝撃吸収のために存在します。土踏まずのタイプに合わないシューズを履いていると、足のバネ機能がうまく働かず衝撃が吸収できないため負担が膝にくることになるため注意が必要です。とはいえ自分では分かりにくいこともあるため、専門店でアーチのタイプを調べてもらうのも一つの手ですね。

 

スポーツインソールを使用する

スポーツインソールなどのグッズを使用することでも足裏のアーチをサポートできます。ランニング時の疲労対策やパフォーマンスの向上・ケガ対策にもなりますよ。

 

足の筋力をつける

膝周りの筋力が弱いと、膝を痛めてしまいがちです。

以下の方法であれば、自宅で膝周りを簡単に鍛えられるので試してみてください。

 

大腿四頭筋トレーニング

仰向けに寝た状態でペットボトルやタオルをひざ下に入れて、床に押し付けるように力を入れましょう。

 

腓腹筋・ヒラメ筋トレーニング

直立位になり支えなどを掴んだ状態で、踵を上げてつま先立ちしましょう。

 

外転筋群トレーニング

横向きになった状態で、上のほうの足を横に大きく持ち上げましょう。

 

内転筋群トレーニング

仰向けに寝た状態で膝を立て、両膝の間にボールを挟み押しつぶしましょう。

 

サポーターの使用

膝周囲に限らず、筋トレをしてもすぐには筋力がつかないことが大半です。筋力をカバーするため、膝サポーターの使用も検討してみるとよいでしょう。安定性を高める効果が強いものから膝関節を正しい方向に誘導してくれるものまで種類が豊富にあります。

 

まとめ

ランニングと変形性膝関節症の関係性を焦点に、膝の負担を軽くしながらランニングを行う方法について解説してきました。

自身の体調や膝の状態をよく観察し、膝に痛みがあったり不安があるときは専門家に相談することも必要です。スポーツグッズ等を使用して膝の負担を軽くするよう心がけ、長く楽しくランナー生活を続けられるようにしましょう。

 

また、幹細胞などを利用した再生医療は、膝関節治療の分野で効果が認められている治療方法です。

まだまだ研究や治験が継続されている状況ですが、幹細胞などの再生医療は現在でも実際の治療にも使われている治療方法。今後はますます身近な治療として発展していくことでしょう。この機会に再生医療へ関心を持っていただき、知識として身につけるほか、実際に治療を検討していただければ幸いです。

膝の痛みや神経痛がなかなか治らない。病気や美容で長年悩んでいる。などの日常生活を送るうえで、少しでも気になった方は気軽にご相談ください。

 

表参道ヘレネクリニックでは体に負担のかからない再生医療を得意としており、いきなり治療に踏み出せない方の為にも事前カウンセリングを実施しています。

 

「気にはなるけど、 本当に今から予防が必要か判断できない」 「治療するか決まっていないけど、 まずは話を聞いてみたい」 そんな場合も全く問題ありません。気付かないうちに生死をさまようリスクを抱えている場合もございますので、ぜひ一度お気軽にお問合せくださいませ。

 

・お問合せフォーム(LINE・We Chat・メール対応):https://stemcells.jp/contact/

【再生医療外来】 03-3400-2277

 

監修:医師 津田康史