膝から下の痛み・重だるさの原因は?!簡単な対策から治療法まで解説

膝から下の痛みや重だるさに悩まされていませんか?

「なんとなくだるくて不快」といったレベルから「ふくらはぎがすごく痛い」「下腿全体が重だるい」など人によって症状は様々でも、これらの症状が続くと日常生活の質を大きく低下させる原因になります。

また、医療機関で治療を受けたほうがいい状態なのかどうか、不安になることもあるでしょう。

 

本記事では、膝から下の痛みや重だるさの原因となる病気などについて詳しく解説し、自宅でできる簡単な対処法から専門機関での適切な治療法まで詳しく解説していきます。

「緊急性がある症状なのかどうか分からない」といった場合にはぜひチェックしてみてください。

 

膝から下の痛みや重だるさの原因

症状を引き起こしている原因は、一般的によく起こるものから特定の病気までさまざまです。病気の場合は、足の血管の循環に問題を抱えている可能性があります。

 

一般的な筋肉疲労

膝から下の痛み・重さ・だるさの最も一般的な原因は、単純な筋肉疲労です。

長時間の立ち仕事や同じ姿勢でのデスクワーク、激しい運動後などに発生しやすく、多くの場合は休息を取ることで改善します。

 

膝から下の痛み・重だるさを起こすメカニズム

立ち仕事ならなんとなく足の筋肉の疲れをイメージしやすいですが、座っているだけでも疲れるのはなぜ?と疑問に思う方も少なくはないでしょう。

デスクワークなどでは重力の影響で足のほうに血液が集中し、血液の巡りが悪くなります。これによって足の筋肉や他の組織への酸素・栄養の供給が減少します。

この供給不足が細胞レベルでのエネルギー産生(ATP生成)を阻害するのです。ATPは、筋肉の収縮、神経の伝達、細胞の修復など、体のあらゆる活動に必要ですから、このATPが不足するというのは疲労感を引き起こす主要因の一つとなるのです。

 

対策

長時間同じ姿勢をとることは出来る限り避けましょう。デスクワークの場合は時間を決めて足の運動をするようにしたり、歩くことも対策方法の1つです。

立ち仕事については休憩時間に足のマッサージをしたり、可能であれば弾性ストッキングを着用して足の血液循環を促すのも良いでしょう。

 

 下肢静脈瘤

下肢静脈瘤は、足の静脈が拡張して血液の逆流が起こる病気です。膝から下の痛みや重だるさの原因の一つとされています。

 

外観的にはっきり分かる場合が多く、静脈が浮き出てボコボコとしていたり、青紫色の曲がりくねった線のようにも見えます。また足首や足が腫れる傾向があり、足に重さを感じたり、痛み・だるさ・疲れやすさを感じることがあります。長時間立ち続けたり歩いたりした後に悪化することが多いです。

また夜間に足のこむら返りを引き起こすことがあり、こむら返りによる強い痛みや、その後の違和感に繋がるケースもあります。

 

膝から下の痛み・重だるさを起こすメカニズム

静脈の弁が正常に機能しなくなることで、血液が重力に逆らって心臓に戻りにくくなり、足に血液が溜まります。一般的な筋疲労の項で解説したとおり、足に血液がうっ滞するということは足の重さや疲れの原因となります。

また、血液がうっ滞するということは、足の静脈の壁にひたすら圧力を余分にかけるということにもなります。その結果、周囲の組織に浮腫や炎症が生じることでも痛みを引き起こしやすいといえるでしょう。

 

対策・治療法

正確な診断については、専門機関によってドップラー超音波検査といって血流の状態や静脈弁の機能を検査する方法が用いられます。

また造影剤を用いて撮影を行い、静脈がどういう状態なのかを詳細に確認します。

 

また静脈強化剤を使って静脈の壁を強くしたり、抗炎症薬で痛みや腫れを軽減することもあります。

問題がある部分の静脈を閉じたほうがいい場合は、レーザー、ラジオ波、硬化剤などを用いて静脈を閉塞します。静脈瘤ができるのは概ねが体の表面に近い細い血管(表在静脈)です。完全に閉塞させたとしても、身体はまた他の静脈を使って血流を流すようになるので、安全性が高いと言われています。

 

閉塞性動脈硬化症

動脈が狭窄(狭くなる)・あるいは閉塞することで血流が阻害される病気です。こちらも膝から下の痛みやだるさの原因となる可能性があります。

血管の閉塞の程度が重くなってくると、血流が完全に阻害されてしまい足が壊死してしまうこともあるため経過観察が非常に大事です。

 

膝から下の痛み・重だるさを起こすメカニズム

閉塞性動脈硬化症があると、「間欠性跛行:かんけつせいはこう」といって短い距離だとバランスよく歩けるのに、距離が長くなってくると足に痛みやひどい疲労感を覚え歩けなくなってくる症状が出てきます。運動に必要な血流が阻害されてしまっているので、酸素不足に陥りやすいからですね。しかし数分休むとまた歩けるようになるので、一度に長い距離が歩けなくても休憩さえ挟めば距離を確保できるのが特徴です。痛みの場所は閉塞部位によって異なります。

また血流が阻害されることでしびれ感などが出てくるケースがあることも覚えておきましょう。

 

当然ながら、血流の滞りが酷くなると傷が治りにくくなったり、潰瘍といって表面の傷でなくかなり深い部分まで達した傷ができてしまうことがあります。

それが更に痛みを出現させるなど、血流の滞りによる痛みと潰瘍の痛みなど要因が重なってしまう場合もあるでしょう。

 

対策・治療法

抗血小板薬を用いて、血栓形成を予防します。

手術が必要な場合はバルーンカテーテルを用いて動脈が狭くなっている部分を拡張したり、ステント(金属製の網状の筒)を血管内に留置し、血管を広げた状態に保ちます。

しかし長期間の閉塞がみられたり、閉塞箇所が複数みられる重度のケースだとバイパス手術が選択されることもあります。人工血管や自分の静脈を用いて、閉塞部をバイパスする新しい血流ルートを作り出す方法です。

 

深部静脈血栓症

深い部分にある静脈内に血栓が形成される病気です。

主な症状は、血栓があるほうの足のむくみ・痛み・皮膚の変色・熱感などですが、無症状の場合もあります。

 

膝から下の痛み・重だるさを起こすメカニズム

深部静脈血栓症についても、血栓によって血流の阻害が起こります。組織に十分な酸素や栄養が行き渡らなくなること、また静脈壁に炎症を起こしやすいために足に痛みや重だるさ・疲れを引き起こすのは上記に説明した疾患と同様です。

 

対策・治療法

抗凝固療法を皮下注射で投与したり、経口薬として飲んで血液を固まりにくくします。

重度の場合は、カテーテルを通じて血栓溶解薬を直接血栓に注入して、血栓を速やかに溶かします。

 

また、上記いずれの疾患の場合でも喫煙や高血圧・脂質異常・糖尿病などがリスク因子とされているため、これらに当てはまる場合は生活改善についての指導を受ける必要も出てくるでしょう。

 

その他の要因

その他、環境要因によっても膝から下の重だるさを引き起こします。

 

不適切な靴の使用

サイズや形状が合っていない靴、あるいはハイヒールなどの不自然な姿勢を強いる靴の使用は、足の一定の箇所に過度の負担をかけてしまいます。つま先が極端に狭い靴や足の裏のアーチに合わない靴なども避けるほうが無難です。

 

水分不足

十分な水分摂取は、血液の粘度を適切に保って循環を促進するために重要です。水分不足は血液の粘度を上げます。つまり血がドロドロになりやすいということです。

その結果循環を悪化させ、下肢のだるさや重さを感じやすくなります。こまめな水分摂取も大事な生活習慣の一つとして認識しておきましょう。

 

栄養の偏り・不足

特定の栄養素の不足も、下肢の不快感の原因となる可能性があります。

例えばカリウムやマグネシウムなどは、効率のよいエネルギー生成にとって欠かせない栄養素です。

こむら返りを頻繁に起こしてしまうとか、足がやたらと重く感じ疲れやすいといった場合には、カリウムやマグネシウムの不足によってそれらの症状を引き起こしている可能性も否定できません。バランスよく摂取することが必要ですね。

 

まとめ

以上の項目に当てはまる場合は、血管外科・血液内科・循環器内科などの受診を検討してみましょう。膝下はただでさえ血液の巡りが滞りやすく、総合的にケアが必要な部分です。日常的な運動、健康的な食生活、そして足を労る習慣を身につけることで、足の健康を維持できます。症状の程度に応じて、自己管理と専門的ケアのバランスを取ることも大切ですね。