パーキンソン病の症状とは?手足の震えや歩きにくさなど、進行段階ごとの特徴

「最近、動作が遅くなった」「安静にしていると手が震える」といった身体の変化を感じていても、「歳のせいだろう」と見過ごしていませんか? もしかすると、それはパーキンソン病の初期サインかもしれません。加齢による衰えと間違われやすいパーキンソン病ですが、早期に発見し適切に治療すると、長く自分らしい生活を維持することが可能です。

パーキンソン病の4大運動症状

パーキンソン病とは、脳のドパミン神経細胞が減少することで、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)、姿勢保持障害(転びやすいこと)という4つの主な運動症状が現れる病気です。50歳以上に多い病気ですが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病の方もいます。有病率は年齢とともに上がり、65歳以上では100人に約1人(10万人に1000人)と言われていますが、全年齢で見ても10万人に100人~180人程度(1000人に1人~1.8人)と、決して珍しい病気ではありません。

4大運動症状の特徴

4つの運動症状は、以下のとおりです。

  1. 振戦(ふるえ):典型的なのが、静止時の振戦です。リラックスして椅子に座り手を膝に置いている時や、歩いている時などに手足が震えます。何かを取ろうとして手を動かすと震えが止まる(または小さくなる)のが特徴です。
  2. 筋強剛(筋固縮):筋肉がこわばり、スムーズに動かなくなる症状です。自分では肩こりや重だるさとして感じることが多く、他人が手足や頭部を動かそうとすると、ガクガクとした抵抗(歯車様強剛)を感じます。
  3. 動作緩慢(無動・寡動):動きが全体的に遅くなり、衣服の着脱や寝返りなどの細かい動作がしにくくなります。歩き出しの第一歩が踏み出しにくくなる「すくみ足」も見られます。
  4. 姿勢保持障害:体のバランスをとる機能が低下し、転倒しやすくなります。病気が始まって数年経過してから現れることが多く、もし発症から2年以内にこの症状が強く出る場合は、進行性核上性麻痺などのパーキンソン症候群の可能性も疑われます。

症状は左右同時に現れるのではなく、体の片側から始まり、徐々に反対側にも広がっていくことが多いのがパーキンソン病の特徴です。

出典:難病情報センター|パーキンソン病(指定難病6)
出典:独立行政法人国立病院機構鳥取医療センター|パーキンソン病の症状について

意外と知られていない非運動症状

運動機能のトラブルだけでなく、運動症状が出る前から非運動症状が現れることがあります。頑固な便秘や頻尿、異常な発汗、疲れやすさ(易疲労性)、嗅覚の低下(においが分からない)、立ちくらみ(起立性低血圧)などが代表的な症状です。また、気分が晴れないうつや、何事にも興味が薄れるアパシー(無気力)といった精神的な症状が見られることもあります。

どの段階にいる?重症度分類(ヤール分類)の解説

パーキンソン病の進行段階を示す指標として、Hoehn-Yahr(ヘーン・ヤール)の重症度分類が広く使われています。

【Hoehn-Yahr(ヘーン・ヤール)の重症度分類】

重症度 症状
Ⅰ期 症状は片側のみ。機能的障害はないかあっても軽微、日常生活にほぼ支障はない。
Ⅱ期 両側性の障害だが、姿勢保持の障害はない。日常生活、職業に多少の障害はある。
Ⅲ期 姿勢反射が障害され、転倒傾向がみられる。活動はある程度制限されるが、職種により就労可能。機能的障害は軽度から中等度、介助なしで自力生活が可能。
Ⅳ期 介助なしに起立、歩行は何とか可能。重篤な機能障害を呈し、就労は困難。日常生活に部分介助が必要。
Ⅴ期 日常生活に全面介助が必要。ベッドまたは車椅子上の生活。

現在は治療薬が開発されており、適切に治療すれば、パーキンソン病であっても平均寿命は一般の方とほとんど変わらないと考えられています。

出典:厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)神経変性疾患領域における基盤的調査研究班|パーキンソン病の療養の手引き

現在の治療法とこれからの再生医療

パーキンソン病治療の基本は、不足したドパミンを補う薬物療法ですが、長期的な服用には効果の変動などの課題も伴います。近年、iPS細胞などを用いた再生医療の研究が急速に進み、新たな希望が見えてきました。

標準治療(薬物療法・リハビリ)

治療の基本は、不足しているドパミンを補うL-ドパなどの薬物療法です。しかし、長期間服用し続けると、薬の効いている時間が短くなるウェアリング・オフ現象や、意思に反して勝手に体が動くジスキネジアといった課題が出現することがあります。運動症状の日内変動やジスキネジアが薬物療法で改善困難となったら、手術療法も検討されます。薬や手術と並行するとさらなる改善が期待できるのが、運動療法です。

ガイドラインでは診断後できるだけ早期に治療を開始することが推奨されており、開始が遅れると障害が固定化してしまう可能性も示唆されています。

出典:日本神経学会ガイドライン|パーキンソン病診療ガイドライン2018第Ⅲ編 パーキンソン病診療に関するQ&A「第4章非薬物療法」
出典:診療ガイドラインat a glance|パーキンソン病診療ガイドライン2018

新たな選択肢再生医療

「薬の効果が薄れてきた」「進行を少しでも遅らせたい」と願う方への新たな選択肢として、再生医療の研究が進んでいます。パーキンソン病の根本原因は、脳内のドパミン神経細胞が失われていくことです。そこで、細胞そのものを補ったり修復したりする治療方法が注目されています。

2025年4月には、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)などが進めていた「iPS細胞を使ったパーキンソン病治療」の治験において、安全性と有効性が示唆されたという発表がありました。治験は2018年から行われ、iPS細胞から作ったドパミン神経細胞を脳へ移植し、2年間の経過観察をしたものです。

その結果、重篤な副作用は見られず安全性が確認され、かつ有効性も推定できるという結果が得られました。現在、日本国内での製造・販売承認に向けた準備が進められています。

出典:京都大学iPS細胞研究所CiRA|パーキンソン病の治療を目指して

まとめ

パーキンソン病は進行性の病気だからこそ、早期発見・早期治療がその後のQOL(生活の質)を大きく左右します。治らない病気と恐れるのではなく、薬物療法やリハビリ、再生医療の情報を正しく知り、前向きに付き合っていくことが大切です。