脊髄損傷に対するMSC由来エクソソーム治療の可能性 ― 第I相臨床試験より

HELENE CLINIC 学術論文要約シリーズ

Safety and potential effects of intrathecal injection of allogeneic human umbilical cord mesenchymal stem cell-derived exosomes in complete subacute spinal cord injury

Stem Cell Res Ther | 2024 Aug 26 | Akhlaghpasand M et al.

Abstract(Abstractの日本語訳)

Objective

脊髄損傷(SCI)患者では、損傷した軸索の再生が不十分であるため、神経学的障害および機能障害が一般的に認められます。エクソソームは間葉系幹細胞(MSC)のパラクライン作用において重要な役割を果たしており、SCIに対する有望な治療アプローチとして注目されています。そのため本研究では、完全性亜急性期脊髄損傷患者に対する、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞(HUC-MSC)由来の同種エクソソームの髄腔内投与の安全性および潜在的効果を評価することを目的としました。

Methods

本研究は、12か月間の追跡期間を設けた単群・非盲検・第I相臨床試験として実施されました。HUC-MSCはヒト臍帯組織から抽出され、エクソソームは超遠心分離法によって単離されました。髄腔内投与後、各参加者に対して包括的評価が行われ、American Spinal Injury Association(ASIA)スケールによる神経学的評価、Spinal Cord Independence Measure(SCIM-III)による機能評価、Neurogenic Bowel Dysfunction(NBD)スコアによる神経因性腸機能障害評価、Modified Ashworth Scale(MAS)、および下部尿路機能質問票による評価が実施されました。

Results

完全性亜急性期脊髄損傷患者9名が登録されました。同種HUC-MSC由来エクソソームの髄腔内投与は安全であり、良好な忍容性を示しました。本試験介入に起因すると考えられる早期または後期の有害事象(AE)は認められませんでした。また、ASIAのピンプリック感覚スコア(P=0.039)およびライトタッチ感覚スコア(P=0.038)、SCIM-IIIスコアなどにおいて有意な改善が認められました。

原著情報

項目 内容
論文タイトル Safety and potential effects of intrathecal injection of allogeneic human umbilical cord mesenchymal stem cell-derived exosomes in complete subacute spinal cord injury: a first-in-human, single-arm, open-label, phase I clinical trial.
ジャーナル Stem Cell Res Ther
発表日 2024 Aug 26
著者 Akhlaghpasand M et al.
DOI 10.1186/s13287-024-03868-0

HELENE 医師の見解

IntrathecalでのExosome投与は比較的アクセスしやすい投与法であり、脊髄損傷患者に対して実施しやすい方法です。しかしながら、麻痺改善作用については今後も経過を冷静に評価していく必要があります。

参考文献・関連資料